圧力鍋は、最近はキッチンでの一般的な調理器具のひとつとなり、その速い調理能力で多くの人々に愛用されています。
ですが、頻繁に使っていると、特定の食材の匂いなどが鍋に付いてきて、洗っても洗っても落ちないことがあります。しかも、あまりにもその匂いが強いと、その鍋を使って料理するのが億劫になってしまうこともあります。
「この圧力鍋、少し匂う気がする…」「何か匂いが残ってるみたい…」
今回はそんな悩みを解消する、圧力鍋の匂いを簡単に取り除く方法をお伝えします。
圧力鍋の匂いの原因を特定する方法
圧力鍋から発生する匂いの原因は多岐にわたります。
匂いを取り除く方法は、匂いの源(もと)によって異なるため、最初に圧力鍋のどの部分が匂っているのかを見極めることが大切です。
そこで、主に一般的な匂いの発生源となるのはだいたい次の3点になります。
- 鍋の本体から匂っている(ステンレスの部分)
- パッキンから匂いが漂っている
- 取っ手から匂いが漂っている
鍋の本体から匂っている(ステンレスの部分)
もし、圧力鍋のステンレス製の本体から匂いがしている場合、そしてその匂いが調理された食材から来ていることが明確な場合などは、「鍋から」と比較的判断しやすいです。
パッキンから匂いが漂っている
しかし、場合によっては、圧力鍋のパッキン部分が匂いの主な発生源となっていることが多々あります。
パッキンというものは、鍋とその蓋の隙間を密閉するために欠かせない部品で、そのパッキンの高い密閉性が圧力鍋の機能および調理効率を高めてくれています。
しかし、この密閉力の高さがゆえに、パッキンにも匂いが付きやすくなってしまいます。しかも、一旦パッキンに匂いが染み付いてしまうと、その匂いが圧力鍋全体にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、パッキンに匂いが帯びてきてしまった場合には、速やかに掃除を行うことが、匂いが鍋全体に広がるのを未然に防ぐカギとなります。
取っ手から匂いが漂っている
圧力鍋を使っていて何か焦げたような匂いがすると感じる場合、その原因として取っ手からの匂いが考えられます。特に、化学的な焦げ臭さを感じるときは、取っ手が原因である可能性が高くなります。
圧力鍋を含む火を使う調理器具においては、過度に強い火力によっては取っ手に直接熱を与え、それが取っ手が焦げる原因になることがあります。
取っ手の材質は製品により様々ですが、よく使われているフェノール樹脂などの材質は、焦げると独特な化学的匂いを放つことがあります。
火力が強すぎる場合、炎が鍋底を越えて側面にまでまわり込み、結果として取っ手が焦げることになります。そのため、圧力鍋を使用する際には、火の大きさが鍋底を超えないように気をつけて、火力を適切に調整することが重要です。
匂いの問題は一見すると単純そうに見えますが、しかし実際には原因は多岐にわたります。取っ手やパッキンといった部分なんて思ってもみなかったと、意外と想像すらしていない見落としがちな部位が原因であることも多いです。
また、パッキンに関しては、匂いがするということは同時に汚れや細菌が存在していることも示しており、衛生面での懸念も伴います。
圧力鍋の匂い消しテクニック
圧力鍋の気になる匂いは、その匂いの原因に応じて除去する方法もさまざまです。ここでは、それぞれの原因別に対処法を簡単にご紹介します。
鍋の本体が匂う時の対処テクニック:重曹を使う
圧力鍋の匂い対策。まずは鍋の本体が原因で匂う際は、重曹を活用した洗浄方法が効果的です。
手順として、まずは、圧力鍋のパッキンを取り外します。
水に重曹を溶かし、その溶液を圧力鍋に入れてよくかき混ぜます。
火を入れて鍋を加熱し、重曹水溶液が沸騰したら火を小さくして約10分間、そのまま置いておきます。
その後、火を消して約2時間ほどそのまま重曹水溶液に浸けておきます。
2時間ほど置いた後、重曹水溶液を捨ててから水でよくすすぎ、鍋の水気をしっかりと拭き取って乾かせば終了です。
重曹の量や水の量、そしてそれぞれの比率などは、圧力鍋の大きさによって変わってきます。このあたりの目安は、圧力鍋の取扱説明書や重曹のパッケージなどに記載されている指示に従ってみてください。
また、水を加えてから重曹を溶かす代わりに、あらかじめ沸騰させたお湯を使用して重曹水溶液を作り、それを鍋に加えるという方法もあります。この方法だと重曹がより確実に溶けるため、時間が許せるならばこちらを試すのも良いでしょう。
(注意!)この方法はアルミ製には使えない!
ひとつ、注意しておきたいのですが、この方法は「アルミ製の圧力鍋では使えない」ということです。
ステンレス製の圧力鍋の場合に限り、この重曹を使う洗浄方法は適していますが、圧力鍋に限らず素材がアルミニウムの場合には、重曹によって鍋が黒く変色する可能性があります。そのためこの重曹を使った洗浄方法はアルミ製の圧力鍋には適しておりません。
パッキンが匂う時の対処テクニック
パッキンが原因である場合には、基本的に「パッキンを徹底的に清掃する」もしくは「パッキンを新品に交換する」と、二つの対応策があります。
パッキンを徹底的に清掃する
パッキンを掃除する際には、いくつかの清掃方法がありますが、どの方法を選ぶにしても、パッキンは蓋から取り外してから清掃するのがベストです。蓋に付けたまま洗うと汚れが残ることがあります。
重曹を使用した洗浄方法
簡単に言えば、重曹水溶液でパッキンを煮沸するのですが、そのためにまず鍋を用意し、パッキンが全部漬かるくらいの水の量に適量の重曹を加えて重曹水溶液を作ります。
あらためて、その重曹水溶液の中にパッキンを入れて加熱し沸騰させた後、今度は弱火にして10分程度そのまま煮沸します。そしてその後に火を消し、溶液が冷めるまでそのままにしておきます。
冷めたら溶液からパッキンを取り出し、水でよくすすぎ、水気をしっかりと拭き取って乾かせば終了です。
重曹の量は、先に説明した鍋の洗浄方法と同様で、鍋の大きさによって異なってきます。詳細は取扱説明書や重曹のパッケージなどを参考にしてくださいね。
カレーの匂いには米のとぎ汁なども効果的
パッキンに、カレーなどの強い匂いが残っている場合には、お米のとぎ汁や、水で薄めたお酢に数時間浸けて置くという方法も効果的です。この方法は、カレーのように香辛料の匂いが残りやすい料理をした後に特に効果的です。
浸け置いた後は、先ほど同様、水でよくすすいでから、水気をしっかりと拭き取って乾かせばOKです。
洗浄後のパッキンは、直射日光の当たらない場所で保管するようにしてください。
パッキンを新品に交換する
定期的なメンテナンスを怠った結果、パッキンに匂いが深く染み込んでしまい、洗っても洗っても匂いが消えない場合は、そろそろ新しいパッキンに交換する時期が来たのかもしれません。
パッキンは、通常アフターパーツとして、圧力鍋の本体とは別に販売されていることが多いです。新しいパッキンを探す際には、お使いのメーカーが運営する公式ウェブサイトなどで情報を探してみると良いでしょう。
もちろん本体にあった、適切なサイズのパッキンを選ぶことが大切です。お使いの圧力鍋に合わないサイズを選んでしまわないよう、購入する前にはサイズをしっかり確認しましょう。
取っ手が匂う時の対処テクニック
取っ手が焦げてしまった際には、速やかにその部分を新らしい部品に交換することをおすすめします。
火の影響によってダメージを受けてしまった鍋の取っ手は、匂いが気になるだけでなく、強度の低下により破損をもたらすことがあります。特に、熱い鍋を移動させる際に取っ手が壊れてしまうと、重大な事故につながる恐れがあるため、早めの対応が必要です。
新しい圧力鍋への交換を考えるタイミング
どんなにしっかりと洗っても匂いが消えない場合、もしかしたら新しい圧力鍋への交換を考える時期が来たのかもしれません。
特に長く使用していると、単純な洗浄方法では取り除けないような匂いが出てくることがあります。また、もともと匂いが付きやすい材料でできた鍋を使っている可能性もあります。
新しい鍋に交換することで、いままで気になっていた調理の際の不可解な匂いの心配から解放されるでしょう。そして新しい鍋を迎えたら、今後、このような匂いを防ぐためにも、使用後はいつも念入りなお手入れを心がけることが大切です。
そうすることによって、いつまでも匂いを気にすることなく、長く圧力鍋を使用することが可能なハズです。
まとめ
今回の記事では、圧力鍋からの不快な匂いを取り除く方法について情報をまとめてみました。
まず大切なのは、匂いの原因見極めて、それに応じた適切な対策を実施することです。
意外と多くの方が圧力鍋の匂いに頭を悩ませていますが、問題のひとつになりえるパッキンなどは交換することが可能ですから、鍋全体を新しくすると費用がかさむ事などを考えると、まずはパッキンなど部品から変えてみて様子を見れるだけでも、大きなメリットとも言えます。
とはいえ、やはり日頃から鍋を丁寧に手入れすることが最も大切です。